薄い桃色と言おうか淡い桜色と言おうか、ようするにそれは。
「オカシイ!」
握るパンからソースが飛び散り、今度は何だと集まる視線。ソース拭けよと誰かがつぶやく。
しかし利央が問いただしたい本人達は、聞いているのかいないのかいや片方は確実に聞いていないがとにかく箸を動かす手も止めず。
それでもめげずに呼びかける。
「ねえ絶対オカシイよなんでメシんときにいちご牛乳なの!?なんで米といちご牛乳なの!?ねえ聞いてる準さんねえねえねえ!」
「あーうっせぇなてめえは!俺と前さんのすることに文句でもあんのか!」
胸倉掴む勢いどころか実際掴まれすごまれたとしても、譲れぬものは譲れない。
「だって!米にはお茶だよ!ソウバだよ!百歩譲って牛乳だよ!」
「利央に言われたくねぇよそんな顔して。何が相場だ。何が百歩だ。ねー前さん」
眉間の皺の瞬間消去が得意技、準太がくるりと前川を振り返る。
「なー。うまいのになー」
呑気に栄養摂取を続ける前川と後輩の胸倉を掴みあげたままの準太と、野球とは別のところで芽生えた仲間意識で、仲良く頷き笑いあう。
「なんか準さん態度違くない!?ていうか前さん聞き流したけどひどいこと言ったよね今!」
結局気にするところは飲み物よりも、先輩自体にずれてゆくのだ昼下がり。
牛乳は許せてもいちご牛乳は許せない仲沢さん。
米にはお茶だと誰より利央がこだわっていたらよいじゃないか。
そして一体こいつらはどこでお昼を食べているんだい。
米にはお茶だと誰より利央がこだわっていたらよいじゃないか。
そして一体こいつらはどこでお昼を食べているんだい。
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