沸き起こる悲鳴、歓声、笑い声。
それらすべてを生み出せる男。
「俺は山ちゃんのああいうとこ好きだけどさ」
器用なのは被害者か加害者か、島崎慎吾の左半身は見事にずぶ濡れ。
だが既に諦めの境地に至ったか、気にする風もなく愚痴を言うでもなくしゃがみ、並ぶ。
「クラスも部活も毎日一緒で、ショウジキなところ疲れません?」
たれ目たれ目、おまえこそ。
食えぬ主将のクラスメイトは、一体誰だというのか。
「ばかだなあ慎吾」
ふ、と見つめる先数メートル。
躍るホースは2本ともに無断借用。青と緑が身をくねらせて放水する先で、きらきら光る飛沫と笑顔と、黄色い被害者の、なみだ。
それがまた笑いを誘うと気づけぬことこそ彼の敗因、彼の魅力。
愛しい愛しい後輩への集中攻撃になりつつも、件のひとの気配り目配り余念なく。
あますことなく、濡れねずみ。
「山ちゃんの日頃の言動からしたらあれぐらい、そよ風みたいなものだよ」
運動部のためにと設えられた水道はもはや攻撃本部でしかなく。
「………ソンケイしちゃうなあ本山くんてば」
沸き起こる悲鳴、歓声、笑い声。
それらすべてを生み出す、山ノ井圭介という男。
それらすべてを生み出せる男。
「俺は山ちゃんのああいうとこ好きだけどさ」
器用なのは被害者か加害者か、島崎慎吾の左半身は見事にずぶ濡れ。
だが既に諦めの境地に至ったか、気にする風もなく愚痴を言うでもなくしゃがみ、並ぶ。
「クラスも部活も毎日一緒で、ショウジキなところ疲れません?」
たれ目たれ目、おまえこそ。
食えぬ主将のクラスメイトは、一体誰だというのか。
「ばかだなあ慎吾」
ふ、と見つめる先数メートル。
躍るホースは2本ともに無断借用。青と緑が身をくねらせて放水する先で、きらきら光る飛沫と笑顔と、黄色い被害者の、なみだ。
それがまた笑いを誘うと気づけぬことこそ彼の敗因、彼の魅力。
愛しい愛しい後輩への集中攻撃になりつつも、件のひとの気配り目配り余念なく。
あますことなく、濡れねずみ。
「山ちゃんの日頃の言動からしたらあれぐらい、そよ風みたいなものだよ」
運動部のためにと設えられた水道はもはや攻撃本部でしかなく。
「………ソンケイしちゃうなあ本山くんてば」
沸き起こる悲鳴、歓声、笑い声。
それらすべてを生み出す、山ノ井圭介という男。
高校生の水かけ祭りってもえるよね、と。
ヤマモトは3年間同じクラスだったんだぜ。
ヤマモトは3年間同じクラスだったんだぜ。
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