それは昼下がりの光満ちた明るい室内に不釣合いな。
薄汚れたドアは瞬きの速さで開けた途端に閉ざされた。
「待て入るな取り込み中だ」
慌てた素振りは押し隠しても、言葉の速度に如実に焦りが現れる。
今の島崎には、傍らの松永と視線を交わすしか術はなかった。
椅子に座り上向いた本山の顔に山ノ井の長くもない髪が触れるほど近く。
近く、触れて、小さく短い流れをつくり。
「あ、俺今見えた」
「え、なにそれなんで本やんばっか見えるわけ!見たいのは俺なのに!」
「もう諦めたらー?」
交わす言葉は、肌が触れあう至近距離。
くびがいたいと小さな呻きに構うことなく覗きこんだまま。
「駄目もう1回。見えないものほど見たくなるでしょ」
「利央のほうが見やすいんじゃないの、目ぇでかいから。準太とかさあ」
「だってあの子ら警戒心が強くて」
「あ、また見えた」
「………」
「諦めなってば」
「本やんはどうしてそんなに俺を拒むの」
「瞳孔にまで責任持てませんよ」
ときたまふっと現れる好奇心に与えられる結果は大抵物足りないものでしかなく、
『まぎらわしいこと、すんなあああ!』
一瞬でも、ふたりの異様な体勢を見てしまった面々の叫びだけが懲りない当人をすりぬける。
薄汚れたドアは瞬きの速さで開けた途端に閉ざされた。
「待て入るな取り込み中だ」
慌てた素振りは押し隠しても、言葉の速度に如実に焦りが現れる。
今の島崎には、傍らの松永と視線を交わすしか術はなかった。
椅子に座り上向いた本山の顔に山ノ井の長くもない髪が触れるほど近く。
近く、触れて、小さく短い流れをつくり。
「あ、俺今見えた」
「え、なにそれなんで本やんばっか見えるわけ!見たいのは俺なのに!」
「もう諦めたらー?」
交わす言葉は、肌が触れあう至近距離。
くびがいたいと小さな呻きに構うことなく覗きこんだまま。
「駄目もう1回。見えないものほど見たくなるでしょ」
「利央のほうが見やすいんじゃないの、目ぇでかいから。準太とかさあ」
「だってあの子ら警戒心が強くて」
「あ、また見えた」
「………」
「諦めなってば」
「本やんはどうしてそんなに俺を拒むの」
「瞳孔にまで責任持てませんよ」
ときたまふっと現れる好奇心に与えられる結果は大抵物足りないものでしかなく、
『まぎらわしいこと、すんなあああ!』
一瞬でも、ふたりの異様な体勢を見てしまった面々の叫びだけが懲りない当人をすりぬける。
瞳孔の拡大と収縮が見たかった山ノ井さん。
に、つきあう裕史。
に、つきあう裕史。
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