「校舎裏ってさ、」
木枯らし吹きぬけ通り過ぎ、手にした枯れ葉をくるりとかえす。
並んでしゃがむ人影ふたつ、虚しく転がる竹箒。
「校舎裏って、どういうとこだろうね」
開いた指から葉がすべり。
「校舎の影になってるとこじゃないの」
はらはらはらと地にかえる。
「ここみたいな?」
掃除さぼっててもばれないような、と学生生活の密かな楽しみを密やかに謳歌中。
「みたいなみたいな」
「じゃあ校舎裏でやることっていったらひとつだねぇ」
振り向き向き合い見つめる間もなく触れる唇。
春の綿毛が撫でたかのように一瞬の。
「校舎裏っぽいねぇ」
つぶやく声の響きのどかに。
陽気な彼の裏側に、落ちこむことでもあったろうかと宙に尋ねもしたけれど。
山ちゃんだってうまく元気が出ないときだってあるさ。
元気の源裕史にキッス。
元気の源裕史にキッス。
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