今日も今日とて蛍光灯は、昼夜変わらずぎらぎら光り、店内には老若男女がぽつぽつ現れてはそれぞれ目的のものを手にして消えていく。
「…もとやん」
いつもならば、どんなにくだらない用事で呼びかけても律儀に返事をする彼だけれど、今このとき彼に課されている難題の前ではその律儀さもなりをひそめる他はない。
「いいこと教えてあげようか」
囁きかけても反応はごくごく薄く。
しかしそれでもこの一言が、彼を救うという確信のもと。
「俺がメンズプリンを買って本やんが牛乳プリンを買ってはんぶんこしたらいいんだよ」
耳から脳へ、言葉が染みこんでいく様が目に見える。
言われて気づいた大袈裟なまでの感心ぶりに、なんのために俺がいるのか考えてごらんと、口綻ばせて紡ぐ言葉は何より甘く。
「………山ちゃんて天才?」
賛辞とともに、ふたつのプリンを前に葛藤していた本山の目から、鱗が1枚ひらりと落ちた。
はんぶんこってもえるよね、ということです。
4組コンビはたまにまわりが訝るほどになかよしだといい。
4組コンビはたまにまわりが訝るほどになかよしだといい。
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